徒然なる絵日記。
絵日記。
【 椿鬼 】
お久しぶりです!夏ですね!大雨やら台風やら洪水やらほんっと落ち着きねえなおいと突っ込みたくなる天候が間に挟んでおりましたが、ようやく夏らしい青空と入道雲を目にすることが増えてきました。
あとは、やっぱり夏の夕焼け刻は好きだなあ。あのダイナミックな色と空模様に呑み込まれるようで、くるくるふわふわ酔えます。
…って、はた。
前回の記事から……は、半年近く……だと…?(まがお)
すみません空木はちゃんと生きてます!!!!!!←今更
相変わらず絵を描き散らしております。更に言うと、毎度ながら、冬になると色んな意味で冬眠し、夏になると色んな意味で活発になる性質は変わらないようです。
さて、お絵描き関係でとても嬉しいことがありましたので、此方へ浮上した次第なのであります。
先日、某所にて「鬼」、「カニバリズム」、「生まれ変わり」というお題を元に一枚の絵を描いたのです。どれもこれもツボすぎて、嬉々とすべてのお題を一枚に詰め込むという荒技に持ち込んだ代物なのですが、描いてて本当に楽しかったのです(超イイ笑顔)
だって鬼ですよ?カニバリズムですよ?生まれ変わりですよ?!?!?!
こんなドツボなお題が勢揃いで私が反応しないとでも…?否!!!!!(反語)←
ええ、鼻血出しながらひたすら筆を動かしていましたね(超イイ笑顔←2回目)
そんな風に、凄く満たされた気持ちで仕上げた一枚絵なのですが、
なんと!この絵を元に、お友達の かがり なち 様(@kagetukagari )が素敵な物語(小説)を創ってくださいました…!!!
私自身が抱いていた絵のイメージを、見事にそのまま映して下さり、そうして、絵に収まらない美しい叙情に満ちた物語が産まれました…!!!////本当にどこまでも凄絶で美しい世界が出来上がっていて…!!!!!その感動たるや!!!!
本当に、ある種の悟りを開きながらトリプルアクセル踏み込みつつ果ては空中バック転決めながら五体投地しましたよ、なちさんが住んでおられる方向に向けて(まがお)
本当に本当にありがとうございます…!!!!!!!!!!!>なちさん
私の絵と、なちさんの素敵小説は下の「続きを読む」に畳んでおります。
是非、なちさんが見事に昇華してくださった素敵な物語をご覧下さいませ…!
【 椿鬼 】
幾度も幾度も
この哀れな鬼はあたしの魂を追い続ける
そして
幾度も幾度も
泣きながらあたしを喰らう
ねえ またあたしを見つけてね
* * * *
この女を追いかけて、もう何百年になるだろう。
今自分が組み敷いた女を見つめ、再び自問自答する。
幾たびも幾たびも彼女を捜し、殺し、食らい尽くす。そんな拷問ともいえる時を繰り返してどれだけたったのか。
彼女はすでに事切れている。がらんどうになった瞳は硝子になり、血に濡れた浅ましい自分を映していた。
――何度目だ、これは。
――何人目だ、コレは。
ただの女になった、ただのモノになった彼女の血をすすり、肉を食み、懐かしい味だと感じ、意識は昔へとかえっていく。
一番最初の女はそう。今よりも自分に近い存在だった。
それはまだ、人と闇が近かった時代。人の中にあやかしが紛れていた頃の話。
美しいと評判の娘があやかしにたぶらかされたらしい――。そんな噂が都で流れしばらくした後、とある田舎の貴族の別荘で一人の赤子が生まれた。赤子はすくすくと成長し、それはそれは美しい姫君になった。
光差さぬ闇のようなぬばたまの髪。
まつげで影が落ちるほどの白い肌。
一度見つめられたらそらすのが惜しいと思える濡れた瞳。
吹き出たばかりの血で描いたように赤い唇。
衣服の上からもわかる、適度に肉の付いた蠱惑的な肢体。
その美貌はあまりに人を魅了し、そして恐怖さえ抱かせた。それは彼女の親や親類さえも同じだったらしく、姫君は屋敷の奥でひっそりと育てられた。
それでも今も昔も人の口に戸はたてられない。美しい姫君の噂は口伝いに広がり、その美しさの源がなんであるのか、人々は口さがなく噂しあった。やがて人々は一つの結論に達した。
彼女はあやかしにたぶらかされた者が生んだ怪しの姫君。ゆえにその美しさは魔性のものであると――。
もちろん、そんな話堂々と言えたものではない。それでも刺激的なその『噂』は静かに人々の間でささやかれ続けた。
そしてそれは実のところ大意で真実だった。ある意味奇跡といえるその女は、人の姿をとれるほどの力を持った鬼を父に、都一と謳われた美姫を母に生まれた半人半鬼。
人であって人ではない身。それはひどくあやふやで、不安定で、なぜか力強く。人ならざる者にはたいそう魅力的に映った。真っ当に友好的なものから『餌』として好意的なものまで千差万別。
幸か不幸か。姫君は父である鬼の力も継いでいた。身を守る術があったとも言える。
そして生まれた時から奥座敷に隔離同然に生きていた彼女にとって、唯一の話し相手であり遊び相手だったのが小さく弱いあやかし達。
……自分はその中の一匹だった。
「小鬼、小鬼。こっちにおいで。わたくしと遊びましょう?」
鈴を転がすような声に頬を染めてついて行った幼い自分。
力もなく、知識もなく、ただ彼女と共にあるのが嬉しかっただけの愚かな雑鬼。
そんな自分を、彼女がなぜ選んだのかわからない。
「小鬼、小鬼」
いつもと同じように柔らかに笑いながら、彼女は突然言ったのだ。
「そなたに名前をあげましょう。そなたに力をあげましょう。……その代わり、わたくしの願いを叶えてちょうだい」
名をくれる、その特別扱いが嬉しくて。たくさんの雑鬼の中から選ばれたことに目眩がして。後先も考えずにひたすらうなずいた自分を、今ならくびり殺してやりたい。
こくこくと首を縦に振る愚かな小鬼に艶やかに笑み、彼女は庭から椿を一輪つむと小鬼である自分の髪にそっと挿した。
「ひめさま?」
「ふふっ、愛らしいこと。そなたは今日から『椿』、わたくしの可愛い『椿』」
ささやくように告げられた『名』が、ひどく甘美な力となって自分を巡るのがわかった。どこかわからないところで彼女と繋がるような感覚すらした。
宿った力にふるりと震える自分を、彼女は愛おしそうにのぞき込む。
「これでいいわ。……ねえ椿、たった一つのお願いよ」
――わたくしが死んだら、この身全てを食らいなさい。
それが最初で最後の彼女の願いであり、命令であり、拷問の始まりだった。
なぜなのだと、そんな『お願い』は嫌だという自分に、彼女はわがままを言う子どもをいさめるように続けた。
「お聞きなさい、椿。半人半鬼たるこの身に眠る力はあまりに大きい。今はいいわ。わたくしがこの身をもって封じていられる。でも……」
もしも、例えば死に際した時にでも、その身ごと悪しきあやかし達に飲み込まれてしまったらどうなるか――。
「人に仇なそうとするあやかしにとって、きっとこの身は甘露どころではないわ」
それならばいっそと、彼女は考えたという。食われる前に食わせろ。食わせても安心なものに与えればいい。乱暴な論理ではあるが理にはかなっている。
だからといって、納得できるはずもなかった。心から慕い、名前まで授けてもらった相手を食らえなどと、本人からですら聞きたくなかった台詞だった。
出来るならはねのけたかった。だがしかし、名を与えられ、『願いを叶えて』という言葉にうなずいてしまった時に、全てはもう決定していたのだ。言霊が自分を縛る、逃れられない。
絶望にむせび泣く自分に、彼女はけして謝らなかった。ただひたすらに「どうかお願いね。大好きよ」と呪いの言葉を繰り返した。
――最初の最後の日は、それから意外と早く来た。人の感覚でもそれはさほど長くはない期間だったはずだ。人の身に鬼の力は大きすぎたのか、通常よりもだいぶん早く、彼女は死の床についたように思う。
死神の鎌にその首をさらしながらも、相変わらず彼女は美しかった。布団に横たわる彼女の側に、自分はひたすら侍り続けた。どうか『願い』を翻してくれるように祈りながら。
けれどもやはり、息も絶え絶えになりながらも、彼女は最期まで『願い』を変えてはくれなかった。
「椿、椿。わたくしの愛しい小鬼、こっちにおいで」
最後の力を振り絞り、鬼の姫は自分の頬をするりと撫でた。ひどく冷たいその手の感触に身震いがしたのを覚えている。
どうかお願いね、大好きよ。
またそうやってこの心を縛り付けて、ぱたりと白い手は落ちた。
――ああ、ああ! お慕いしております、主様……!
そして自分は彼女を食ったのだ。肉の一片、血の一滴すら残さぬように。
この女を追いかけて、もう何百年になるだろう。
幾たびも幾たびも彼女を捜し、殺し、食らい尽くす。そんな拷問ともいえる時を繰り返してどれだけたったのか。
「主様……」
呼びかけたけれど、硝子の瞳は何も映さない。
開いたままの口はそのまま形を変えない。
一度死に、食らい尽くされた鬼の姫。そこで話は終わらなかった。
主が転生したことを、自分はすぐに感じ取った。そして、鬼の血が入っていないはずなのにその身に力があふれていることを、彼女『願い』が、己の『絶望』が終わっていないことを知った。
鬼の血をひかない今の主はまるで無防備で、生まれた時から幾多のあやかしに命を狙われていた。放っておけば、すぐに餌にされてしまう。
じゃあせめて、彼女が死なぬよう、食われぬよう、鬼姫の力を身に宿した自分が今度こそ彼女を守ろうと決意した。
――だけど。なぜか、うまくいかない。
何度も何度も彼女は死ぬ、そして自分が食らう。
今度こそ、と思っても。
……彼女が死ぬ、自分が食らう、彼女が死ぬ、自分が食らう、彼女が死ぬ、自分が食らう――!
彼女を他のあやかしに奪われないためにこの手で殺めたことも、すでに数え切れない。
永遠に続く悲劇――もはや喜劇か。拷問は終わらない。
自分が弱いからかと嘆いたことも数知れない。
それでも、彼女を食らい続けたこの身も力も、もうすでに普通の鬼のそれじゃないはずなのだ。
なのになぜ、自分はその天命つきるまで彼女を守りきれないのか。あまつさえ、その血肉を美味と感じてしまうのか。
わからない、わからない、わからない……。
いつ終わるとも知れぬ永劫の中で、これからも自分は幾たびも幾たびも彼女を捜し、殺し、食らい尽くすのだろう。それが彼女の『お願い』だから。
だがしかし重なる絶望の果てに、もしかしたら自分こそが主の恐れていた『人に仇なすあやかし』なのではないかとすら思えてくる。それほどに、彼女の血は甘い。
それでも自分は彼女との約束を違えるわけにはいかないし、彼女に失望されるのだけは嫌なのだ。
だからああせめて。ああせめて。
「どうか、もう一度名前を呼んでください」
そうすれば、自分はきっと正気でいられる。
この心はいつもあの人だけのもの。誰よりもきれいで、優しく、そして残酷な。
「主様……」
自分はこんなにも、あなたをお慕いしているのです。
【終幕?】
* * * *
本当に、本当に、素敵な世界の息吹をありがとうございましたっっっ!!!!!!
凄く嬉しいです幸せです!宝物がまたひとつ増えました!!!!!!!!!
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